自社商品をお客様が買ってもらうにはどうしたらいいか考えたことはありますか?
安くする?品質を上げる?デザインを良くする?目に触れる機会を増やす?
もしこれらを買ってもらう策として考えていると、安さ競争に巻き込まれたり、製品の良さを追求しすぎて見てもらう機会を逃したり、見た目を整えすぎて製品の価値を盛ってしまったりと、マイナスなことがたくさん起きます。
自分で質問しておいてなんですが、お客様に買ってもらうという姿勢から見直す必要があります。買ってもらうのではなく、“自然と買いたくなる”ということです。
これはマーケティングの第1人者、フィリップ・コトラー氏が提唱しているマーケティングの定義でもあります。今回は定義が難しいマーケティングについて解説し、今の時代のマーケティングとは何か、それを理解するとどんなメリットがあるのかについてお話しします。
マーケティングとは
マーケティングは冒頭でも説明しましたが、wikipediaによるとこのように説明されています。
企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。
(wikipediaより)
難しく書いてありますが分かりやすく言うと、「本当に欲しいものをお客様の為に作り、最適なタイミングで届け、心から喜んでもらう」ということです。
これだけ聞くと当たり前のように聞こえますよね。
深堀っていくと複雑になっていきますので、まずはこの考え方を念頭に置いた状態で本当にほしいものはなにか?お客様とはだれか?最適なタイミングはいつか?心から喜んでもらうにはどうしたらいいかを、一つ一つ因数分解のように説明することで、より詳しく理解してもらえると思います。
本当に欲しいものとはなにか?
“プロダクトアウトからマーケットインへ、そしてプロダクトマーケットフィットを目指す”
これまでの企業の多くは「こんな製品を作ってみたい」「こんな技術があるからこういった製品が作れそう」という感じで製品をつくり出してきました。こうした自社が作りたいもの、作りやすいものを作ることを“プロダクトアウト”と言います。
これが悪いわけでないですが、これからの時代は自分たちが作りたいものを作る企業はイノベーション企業に多く、挑戦的でリスクが高いビジネスモデルとなるので少数派となります。
反対にお客様の求める製品を作ろうとする企業がこれからの主流となってきます。こうしたお客様起点の製品開発を“マーケットイン”と呼び、提供するサービス全体をお客様起点で考えることを“プロブレムソリューションフィット”と呼びます。
自分たちが作りたいものを軸に考える自己実現タイプの企業から、お客様の幸せを軸に考えるカスタマーサクセスタイプの企業が主流になってきています。自己実現ができるがリスクが高いビジネスで進むか、顧客の幸せを考えたリスクの少ないビジネスモデルにするか選ぶのは経営者のみなさんですが、Appleのように高い先見性と技術力を持っている企業でもない限り、変革する必要がどの企業も目下に迫っています。今からでもお客様起点の姿勢でビジネスに取り組む必要があります。
そしてその後はそれがマーケットに求められ続けている状態を維持し続けなければいけません。そうすることで継続的な経営をすることができます。サービスに満足した顧客がリピートしてくれることで販促費を下げても経営が安定できるように、SaaS企業が顧客満足度の高水準を維持する為の部署を創設することで経営安定化に繋がるように、顧客満足を第一に考えて結果を出し続けることがこれからの企業に必要な考え方です。これを“プロダクトマーケットフィット”と呼びます。
プロダクトアウトからマーケットインとプロブレムソリューションフィットへ、そしてプロダクトマーケットフィットを目指していきましょう。
お客様とは誰か?
心を動かしたい、たった一人を思い浮かべる
それでは商品を買ってくれるお客様は誰なのか考えてみましょう。
プロダクトアウトであれば自己実現なので特にターゲットを設定する必要がなかったかもしれません。しかしマーケットインを実現するにはまずお客様を知る必要があります。まずは自分たちがどんなお客様を相手に商売したいのか、明確に言葉にしてしっかりと人物を捉える必要があります。20代女性のような漠然としたターゲットではありません。
この時大事なのはもっと細かく人物像を設定することです。それにより具体的な製品の使い心地やサービス内容などを決めていくことができます。
私たちが商品を買うときは、少なからず心が動いた時です。そのためには誰に向けたものかわからないメッセージより「これ私に言っているのかとおもった」「私の為に作られたみたい」と感じてもらうことが一番有効です。なのでそう感じてもらうためのうたい文句や製品開発が必要になります。心を動かしたいこのターゲットを明確にすることをマーケティング用語で“ペルソナ”と呼びます。
しかしペルソナを決めることに抵抗感がある企業もたくさんあります。絵空事のように思える感覚があるかもしれません。
ちょっと脱線しますが、みなさん好きなドラマはありますか?私はタイガー&ドラゴンというドラマが好きでした。長瀬智也扮するヤクザが落語の世界で活躍するドラマです。流行ったのは2000年初頭でした。主人公の長瀬とは年齢も違い、もちろんヤクザでもありませんし、落語に興味があったわけでもないのに私はそのドラマが大好きになりました。
ドラマの主人公は自分と同じ境遇で同じ考え方で同じ趣味嗜好な人物はほとんどいませんが、それでも私たちは共感し涙し感動します。みなさんにもこういう経験がありませんか?そして主人公と自分が近いほど主人公に共感してしまうでしょうし、主人公と違っても近しい部分を勝手に見つけて共感しようとします。
このドラマの主人公こそが、私たちが明確に設定すべきペルソナです。ペルソナとは、貴方の商品を手に取って課題を解決しようするドラマの主人公そのものです。ペルソナを明確にして、心を動かす製品を生み出していきましょう。
最適なタイミングで届けること、心から喜んでもらうことについてはまた次の記事で書いていきます。
「つながるデザインで未来をカタチに」
私たち穂の国デザインでは顧客の商品がお客様に選ばれる為に、上記の言葉を掲げています。わたしたちのデザインは、誰かと誰かをつなげるものだと考えています。 「挑戦したいこと」「困っていること」「伝えたいこと」を解決するお手伝いをし、お客様の理想の未来を形にすることを目指しています。
誰でも買える商品ではなく、誰もが買いたくなる商品を一緒に作っていきましょう。