飲食店のテーブルに置いてあるアンケート。手に取ってみると、満足度に関する内容のものが多いと思います。しかし、これらを知っただけでは、お客様の満足度が売上に紐づいているかを把握することは困難です。実際の戦略や施策の改善に繋げることは、もっと困難だと言えるでしょう。
そこで、この「満足度」に変わる指標として「NPS®」が注目されてきました。すでに多くの名だたる大企業が導入、効果が実証されており、各社サービスの向上に積極的に取り組んでいます。ぜひNPS®を活用し、お客様の気持ちを汲み取って、ビジネスにインパクトを与えていきましょう!
NPS®とは
NPS®(= NET PROMOTER SCORE/ネット プロモーター スコア)とは、ユーザーがサービスにどれだけ満足し、その評価がどれくらい売上に貢献しているかを測る指標のことです。“ NET ”と聞くとインターネットが思い浮かびますが、実はそうではなく、「正味の」「実際の」という意味の“ NET ”です。
NPS®には、既存ユーザーの評価が「実際に(NET)」どれだけ宣伝活動に貢献できているかを測るという目的があります。
お客様アンケートで「このサービスに満足していますか?」という、満足度を聞いているものをよく見かけます。実は、これだとサービスが売上に貢献しているかどうか、直接結びつかないことが多いのです。サービスに満足していても、「人に薦めたいもの」と「そうではないもの」があります。
例えば、私の家にある電気圧力鍋。ごはんも料理もできて予約もできるし、圧力で美味しく炊けるので、大変満足しています。なので、買ってから人に薦めまくってます。象印の「煮込み自慢」です。良さがよくわかる記事があったので、気になる方はこちらをどうぞ。
象印・電気圧力鍋・煮込み自慢(EL-MB30)とは!魅力を徹底レポート!
参照元:らくピ 様
次に、同じく私の家にある冷蔵庫。こちらも、大容量で物が入れやすく、野菜室も広いので大変満足しています。ですが、買ってから人に薦めたことはありません。
というように、同じ満足しているものでも、「人に薦めたいもの」と「そうではないもの」があるのです。みなさんは、家にあるもので満足しているものはどれくらいありますか?そして、その中でこれは誰かに紹介したい!と思えるものは、どれくらいありますか?
この「満足しているもの」と「友人に薦めたいもの」の違いが、「満足度」と「NPS®」の違いです。
NPS®を測ると、どんなメリットがあるのか
既存ユーザーによるクロスセルやアップセルの売上は、経営にも非常にインパクトがある数字かと思います。既存ユーザーが満足していると、アップセルやクロスセルが増えることは明白でしょう。これを利用して、満足度をこれらのKPIにする方法が考えられました。
しかし、ただの満足度では因果関係が薄く、そこで考案されたのが既存ユーザーの推奨度を表す「NPS®」です。
NPS®は、既存ユーザーがどのくらい売上やLTVに貢献しているかを満足度よりも詳しく測ることができるため、現在多くの企業で採用されるようになりました。また、カスタマーサクセスという目的においても重要な指標とされています。
※ちなみに、NPS®を考えたのはペインアンドカンパニー社で商標登録もされています。
NPS®は具体的にどうやって測るのか
NPS®の測り方は、いたってシンプル。ユーザーアンケートにたった一つ、質問をするだけです。
それは、「あなたは現在のサービスを友人や同僚に勧めたいと思いますか?」という質問です。
これを0~10の11段階で答えてもらい、10・9の選択者を「推奨者」、8・7の選択者を「中立者」、6~0の選択者を「批判者」とし、「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いたものが、NPS®となります。
この質問によりNPS®がわかるわけですが、そこからさらに高度な分析をしていく場合は、これに合わせていくつか質問を重ねることで、より深いユーザーの心境を分析していくことができます。
- 一番重要な質問
- ●あなたは現在のサービスを友人や同僚に勧めたいと思いますか?
- プラスで聞くと良い質問
- ●そのように思った理由はなんですか?(箇条書き)
●各項目(タッチポイント)についてどれくらい満足していますか?
●サービスをこれまで何人くらいに勧めたことがありますか?
NPS®の活用方法
前述した通り、ユーザーアンケートでNPS®を測っただけでは、何も意味がありません。その結果をどのように活かして改善していくかが、一番大事な部分になってきます。また、どう活用するかは、アンケートを行う前に考えておく必要があります。活用の仕方が明確であれば、どのような質問が最適なのか、出て来やすくなります。
活用する時のポイントとしての指針はいくつかありますが、その中で今回は特に重要なものを2つ厳選してご紹介します。
ポイント1.
業界NPS®️を比べて、自社のステータスを知ろう
NPS®がいいのか悪いのか判断するには、3つのベクトルがあります。
●時間軸(月別、年別)
●セグメント別(年齢、性別、地域、趣味嗜好)
●企業別(同業他社比較)
この中で最初に調べた方がいいのは、他社比較でしょう。業界内で自社がどれだけの位置なのかわかれば、改善の優先度なども変わってきます。以下にて、各業界別のNPS®をご紹介します。自社が業界内でどれくらいなのか、調べてみることをおススメします。
見てわかる通り、ほとんどが1位でもマイナスです。なので、自社がマイナスでも落ち込む必要はありません。業界平均から、10〜20ポイント高いと1位になっているケースが多いので、自社の業界NPS®を調べて1位を目指してみてください。
自社の業界NPS®がわからない場合は近しい業界か、サービスの提供方法が似ている、ターゲットや価格帯が近しい業種などがいいかと思います。
総合すると、
●「+10前後」だと「超優良企業」
●「0前後」だと「優良企業」
●「-10前後」だと「問題なし」
●「-20前後」だと「注意」
●「-30前後」だと「要注意」
●「-40以下」だと「抜本的改善が必要」
と、言えるのではないでしょうか。
ポイント2.
満足度と推奨度の相関関係を見てみよう
質問で各要素の満足度について聞いていれば、推奨度と満足度の相関関係から、何が推奨したいというトリガーになっているのか分析することができます。
例えばこのような図があったとします。
青は推奨者のグラフ、オレンジは批判者のグラフです。青の推奨者は、価格だけ満足度が低そうです。対して、赤の批判者は価格とパッケージデザイン、キャンペーンの項目の満足度が低そうです。
ただし、推奨者も価格に対しての満足度が低いことから、推奨者との相関関係においては、「パッケージデザインとキャンペーンの改善が重要では?」という仮説を立てることができます。
この後は、改善するための施策を考えて実行し、再度NPS®がどう変化したのかを効果測定していくことで、NPS®を効果的に活用していく事ができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?「会社の規模が大きくなり、満足度だけみていたら改善ポイントが大きくずれていた」なんてこともありえますので、ユーザーから直接声をいただき、より推奨度を上げていく仕組みを作りましょう。そうすることで売上貢献もでき、企業の発展にも繋がっていきます。
そして、この改善はマーケティングやサポートセンターなど、ひとつの部署が担うのではなく、全部署が情報を把握し、全社的に理解と改善をしていくことが一番大事になります。
ここが、実は一番難しいと思いますので、全部門の統括をするリーダーや、経営者に音頭を取ってもらい実行していくのが最適かと思います。
「つながるデザインで未来をカタチに」
私たち穂の国デザインでは、お客様満足度を上げるために上記の言葉を掲げています。
私たちのデザインで、「挑戦したいこと」「困っていること」「伝えたいこと」を解決するお手伝いをし、お客様の理想の未来を形にすることを目指しています。そして、繋がった先の誰かがそのデザインでワクワクしてくれることが一番の喜びであり、また依頼していただいたお客様に果たしたい想いでもあります。